Head to Head【第3回】特別インタビュー!「バンガード×楽天投信 投資のイロハ」

「バンガード×楽天投信 投資のイロハ」第3回特別インタビューをお届けします。

バンガード社は他の運用会社とどう違うのかや、創業者であるジョン・ボーグルについてご紹介しております!

バンガードは、インデックス・ファンドの世界最大手の運用会社ですが、他の運用会社と何が違うのでしょうか。


大きな違いは2点あります。1つ目は、世界でバンガードが運用している630兆円を超える投資家の資金のうち、約80%が皆様と同じ個人投資家の資金だという点です。一般的な大手運用会社の場合は、機関投資家が運用資産額の大きな割合を占めていることが多いのですが、バンガードの投信やETFに投資をしている方の大部分は個人投資家です。

また、バンガードの個人投資家は長期投資をされる方が多く、長期に渡って投資信託やETFを保有したり、積立で投資を継続なさったりしています。そのため、突然大きな資金が解約されることが少なく、安定した運用を実現することができるのです。

2つ目の違いは、バンガードの独特な会社構造に関係しています。下の図では2つのタイプの運用会社の構造図をご紹介していますが、上が一般的な運用会社の構造です。運用会社が投資信託を運用し、投資家はそれに対し信託報酬を運用会社に支払います。この信託報酬が運用会社の収益となり、収益から経費などを差し引いた利益が外部株主に配当などの形で還元されます。この構造では、運用会社は投資家の資産を増やすために投資信託を運用しながら、外部株主の利益を増やすことも目指す必要があります。

次に、その下にありますバンガードの会社構造をご覧ください。バンガードには外部株主等が存在しないため、バンガードの米国籍ファンドが会社の株主の役割を担っています。つまり、ファンドの投資家はバンガードのファンドを通じて間接的にバンガードの株主になります。この構造では、外部株主に支払う配当などが発生しないため、会社が得られた利益は株主であるバンガードが運用するファンドのコストに充てることができます。すなわちファンドが成長し、運用効率が上がれば、ファンドの信託報酬を引き下げやすくなるのです。バンガードがファンドの信託報酬を下げ続けられるのは、この独特な会社構造によるものとも言えます。他社と異なる会社構造により、バンガードはファンドの投資家の利益のみを追求することができ、利益相反が起きないビジネスモデルで投資家に還元することができるのです。

これは、バンガードの創業者であるジョン・ボーグルが、投資家のための運用会社をつくろうと考えた会社構造です。

非常にユニークな会社構造ですね。確かにこの構造ですと、バンガードは投資家のために存在しているということが分かりますね。三上さんのお話に出ましたバンガード社の創業者であるボーグルさんですが、三上さんはお会いされたことはありますか?


はい、あります。私は2011年にバンガードに入社しましたが、米国へ出張する機会もあったため、ボーグルにも何回か会うことができました。

ボーグルは、外見や話し方を含め非常に穏やかで物腰の柔らかい人でした。しかし投資や投資哲学の話になると、内に秘めた強い使命感のようなものを滲ませる場面もあり、「投資家のためになる商品とは何か?」ということを常に考え、追求していました。70歳でバンガードを退職した後も、バンガード本社の中に自身の研究所を設立し、日々、投資に関する執筆活動を行ったり、メディア出演などを通じて活動を続けていました。ボーグルは2019年の1月に89歳で他界しましたが、最期まで運用会社として投資家のために何をすべきか、ということについて考えていた人です。

第1回のベラミーさんとの対談で言及した「Stay the Course(航路を守れ)」という言葉は、バンガードの投資に対する礎となっている考え方であり、ボーグルが他界する前に書き上げた最後の著書のタイトルでもあります。一度決めた航路を守りながら投資を継続させるという理念は、長期投資を実現する上で最も不可欠な要素だと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。
* の項目は必須項目となります。

•コラムに関連する質問のみ受付けさせていただきます。コラム以外の質問に関しましては、質問箱をご活用ください。

•全てのコメントは、当社で内容を確認させていただいた後、当社の判断により開示いたします。

•投稿内容等が不適切であると当社が判断した場合、開示後であってもお客様の同意を得ることなく削除することがございます。詳しくはコミュニティガイドラインをご参照ください。

CAPTCHA